交通事故の死亡事故では、警察による実況見分や取り調べを経て、検察官送致(送検)がおこなわれることがしばしばあります。
送検後、検察官は警察から送られてきた資料や自ら交通事故の当事者に対して取り調べた内容などをもとに起訴を行うかどうかを決めますが、その際には公判請求、略式手続、即決裁判手続の3つの中からその後の手続きを決めるのが基本です。
公判請求は文字通り裁判所に公判を実施するよう求めることで、テレビドラマなどでよく見られる通常の裁判が行われます。特に危険運転致死罪が適用される交通事故では、刑罰が懲役しかないため必ず公判請求が選ばれます。
一方、略式手続では正式な裁判を行わずに書面のみで審理を行って刑を決め、即決裁判手続は起訴後14日以内に公判を実施し、その場で判決をだします。
どちらも罰金や科料の程度が少ない見込みであり、被疑者の同意があったときに選択され、略式手続では必ず罰金刑に、即決裁判手続ではほぼ必ず執行猶予付きの判決が出されます。
一般的に、交通事故の損害賠償は示談金という形で解決することが大半です。全体の約9割がこの示談金で終わらせているというデータもあるくらいで、訴訟まで発展することがほとんどありません。
これは、裁判所で解決をすることになっても、最終的に被害者側の損失が大きくなってしまう傾向があるからです。交通事故の被害者は、長期の裁判を行うことで余計な費用負担が生じます。すぐにでも治療費や生活保障をしてもらいたいと考えている人にとって、こういった時間のかかるものは否定的になってしまうのも仕方がありません。
しかし、死亡事故に関してはこの限りではありません。死亡事故が存在した場合には、通常の賠償請求と比較しても非常に大きな金額を請求できます。
元々、訴訟を行うときのデメリットは被害者側のメリットが小さいことにあります。一方で、交通事故の程度があまりにも大きいときにはむしろ裁判をして大きな金額を求めた方が良いことも多いので、この違いは知っておくべきです。